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退職の際の手続が、曖昧だった〜それを理由に、残業代の二重請求された事件〜【建設会社・労働問題・訴訟前解決】

2018年06月06日(水)

事案

地方の老舗的な建設会社の事案です。1年ほど前に、合意して辞めていった従業員が、労働基準監督署も挟んで残業代も支払ったのに、「残業代が不当な内容だった」「退職に合意していないのに解雇された」「違法な業務をしているから警察に通報した」などと、会社側に要求してきた事件です。

(ヒヤリング)

会社側の現場責任者、経理担当者と、まずはヒヤリングを進めました。そうすると、以下のことが分かりました。
・残業代の内容
⇒誰かに知恵をつけられたのか、労働者側の弁護士が裁判であれば主張するような内容は、確かに、フォローできていない支払いでした。ただ、労働基準監督署が挟まっているだけあり、一般的には充分な支払いがなされていました。相手が訴訟までやってきたとしても、支払った金額との差額は、大した金額ではなく、この点はそれほど心配いりませんでした。

・退職に合意していない、退職合意書を偽造された
⇒犯罪になるような偽造は当然なかったのですが、この点、書類に不備があり、「法的」に考えると、会社側に厳しい点が見つかりました。辞職する際には、退職合意書という書面を取っておくことが必須です。でないと、何かにつけて、解雇だったと争われてしまい、その場合、かなり会社としてはしんどいことになるのです。

今回、相手が書類の整備に協力的でなかったため、退職合意書を会社が作り、「相手の名前も記名」してしまい、その上、ハンコを忘れたなどの理由で、印鑑を教えてもらっていない状態でした。退職合意書については、今回のようにならないように、「自署+捺印」が必須です。弁護士としては、相手に弁護士つくと、この部分は非常に「やだな」という印象でした。

・違法な業務
⇒こちらは、事実無根でした。確かに、建設業法的に、一度検査、確認のようなことを受けたみたいですが、刑事事件になるような違法業務などはありませんでした。相手としては、嫌がらせをしようと、警察にあらぬことを、いろいろ言ったみたいです。

方針決定・対処

今回、上記のように、法的書面としては不備もありますが、少なくとも、訴訟前で会社側が譲歩するような内容はありませんでした。話しを聞くと、もともと当たり屋のようなこともやるような人らしく、会社側とも上記の見通しを伝えた上で、訴訟前では徹底的に相手の要求を突っぱねるスタンスを取りました。「あくまで訴訟前から、相手の言い分に屈して、負けを認める」内容とまでは言えなかったからです。

結局、私のほうから、内容証明郵便による警告・回答と、何度かの交渉を踏まえて、相手は諦めたみたいです。

弁護士のコメント

今回の事態が起きたあとは、似たようなことが起きないように、逐次書類のチェックなども、顧問弁護士を通して行ってもらうようにしました。これで似たような事案が再び起こることは無くなりました。
今回のケースのように、「正確に、裁判所だとどうなるか」と考えすぎ、相手に膝を屈するような回答をしていると弁護士として会社のご意向に沿うことはできません。相手の状況に応じて、また、「最悪のケース」を想定しながらも、会社の利益を守る回答を、どのように考えるかが求められていると感じました。

(弁護士 山村暢彦)

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