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将来の有望株従業員の離反〜非常に高額な残業代請求事件〜【建設会社・訴訟前解決・労働問題】

2018年06月04日(月)

事案

今回は、社長が、既に70代とご高齢で、これまで地道に丁寧に仕事を続けて大きくしてきたという建設会社の社長からのご相談でした。もともと目をかけていた番頭さんと数年前に揉めてしまい、番頭さん始め有望視していた従業員が固まって辞めてしまったということでした。そんな中、その従業員の一人から会社に対し、残業代の請求が、弁護士を通じてなされました。

有望視していたがために・・・

ご縁あって、私のほうでできる限り減額交渉するご依頼を受けました。しかし、資料を検討すると、会社にとって非常に厳しい状況がみえてきました。有望視していた従業員であったために、社長が気前よく働きを評価し、給与水準を高く設定しすぎていたのです。本来は、こういう豪快な社長の経営は、えてしてうまくいくものなのですが、今回は、歯車が噛み合わず、相手も弁護士をつけ、こちらも弁護士で対抗するという大変な事態になってしまいました。

粘り強い交渉

当方に不利な状況とはいえ、好きなようにさせるようにはいきません。会社の経理担当者と、資料を検討し、従業員の証言など、細かく何度も打ち合わせを行い、相手に対抗する手段を模索しました。今回、支払った給与の額自体を変えることはできませんが、相手が過剰に主張している労働時間については、従業員の証言や勤務体制、担当職種の状況などを踏まえ、できる限り会社の利益を守る主張を考え、交渉を続けました。

相手の心理を読み、訴訟前解決

ただ、どうしても「法律」「裁判」で考えると、社長の今までの気持ちが、相手にとって有利に働いてしまう状況でした。相手の弁護士の主張を、どれだけうまく弁護しても8割の請求に留めるのが、精一杯という状況です。
社長にも、その旨よく説明し、「法律でいくと、8割負けてしまう、ただ、うまく調整できれば、6割の負けで終わらせられる可能性はある。」、「社長のお気持ちに沿って裁判で徹底的に戦うのも良いが、会社の利益、今の従業員、今後会社を継ぐ次期社長のことを考えると、感情的に納得できない部分があっても私に和解交渉させて欲しい。」と、申し出ました。社長も相当葛藤したようでしたが、「会社のために」ということで、交渉を私に一任してくれました。
正直、相手の弁護士と話しても拉致が空きませんでした。当然です、相手の弁護士からすれば、裁判すれば、10割、悪くて8割勝てる勝負です、和解する意味がありません。もっとも、依頼者からしてはそうではありません。私は、2年後の10割の勝ちよりも、2か月後の7割の勝ちのほうを、相手の依頼者が選ぶ可能性があると考えました。もはや法律とはかけ離れたところですが、相手も会社を辞めて新規の会社経営を始め、すぐさま資金が欲しいのは目に見えていました。私は、相手の弁護士に和解案をつぶされるのが嫌だったので、相手弁護士が相手の依頼者に業務報告する際に、こちらの思惑通りに進むよう、文面を非常に考えて和解提案書を作成しました。「強すぎず、相手の気持ちも配慮し、とはいえ、和解案としてはこちらの利益を最大化するような文面」です。

弁護士のコメント

正直、今回の案件は、負けがみえている案件でした。私がどれだけやっても、相手に嫌がらせの範疇にとどまるかなと思っておりました。ただ、相手の心理を読んだ和解案の提示が、ピシャリとはまりました。相手の弁護士としては、裁判までやりたかったと思います。ただ、私の和解案を相手依頼者が飲み、本来10割負けるところ、6割程度の負けで終結させることができました。

労働事件をやっていると本当に会社に厳しい世の中だなと思います。
ただ、社長と一緒になって、厳しい戦いながらも、会社を守るために戦うのは、本当にやりがいのある仕事だなと感じました。

(弁護士 山村暢彦)

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