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15年来の従業員が退職金請求〜相場より抑えた金額で、早期の和解〜【不動産会社・労働審判・事業承継】

2018年05月23日(水)

事案

長年勤めた従業員の方が、1年ほど前に辞めることになりました。会社が事業を整理するということと、その従業員も、ちょうど高齢になり、引退も目前という状況だったからです。

辞めた理由も会社都合にし、会社の業績的には厳しいところもあったのですが、やはり長年勤めてくれたので他の従業員よりも高額な退職金を支払っていました。

突然の労働審判

現在の代表取締役は、8年前に先代から会社を引き継ぎ問題なく、事業を運営していたと思っていた矢先、突然、今回の従業員から「退職金が不十分だ。この規定に基づいて退職金を支払え!」と労働審判を提起してきました。

労働審判というのは、裁判(訴訟)には時間がかかるものなので、労働事件について迅速に判断できるようにしよう、という理由でできた制度です。労働者が給与をもらえないと明日から生活できないかもしれない、そんな人を生まないために、早期に結果がでるように作られた制度です。

会社に不利な昔の資料

現在の代表取締役は、先代から会社を引き継ぎ、手元の資料をもとに会社を運営していたので、書類が届いたときには寝耳に水だったそうです。私も、社長とともに、会社の資料を集めて、また、「今までの退職者の退職金の履歴」などを整理し、裁判所に既に充分な額の退職金を支払い済みである旨を主張しました。

ただ、その古株の従業員は、前の代表取締役のときの退職金の情報や書類をもっており、それらがここ最近の会社の基準と異なっているものでした。先代からの書類の引継ぎと、その書類のリーガルチェックがなされていないのが、原因でした。

正直、今の社長は悪くないのですが、不利な証拠も出てきてしまったので、流石に一切支払わないというのが厳しい戦いになりました。想いとしては悔しい部分もあったのですが、「現在の会社の一番の利益」のために、相手の要求額からかなり金額を下げましたが、審判(判決)の前に和解する道を選びました。

弁護士のコメント

労働事件の会社側弁護を行っていると、裁判所、裁判例などの基準でいうと、かなり会社側に厳しい傾向があります。そのため、経営者の方とは、「裁判の結論がどうなるのか」「その上で会社にとって一番良いのは何か」というのを、しっかりと打ち合わせて方針を決定します。

今回も、見通しをしっかりと立てて、社長と打ち合わせを十分に行いコミュニケーションが取れていたので、会社のダメージを最大限に抑えることができたと言えます。

もっとも、労働審判の後には、同じような事件が再犯しないように、私が顧問弁護士として、社内のコンプライアンス体制を現在も整備しております。
(弁護士 山村暢彦)

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