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退職した従業員の引き抜き行為【不動産会社・予防法務・労働問題】

2018年06月11日(月)

事案

5人規模の不動産会社の社長から受けたご相談でした。もともと頑張ってやっていた従業員だが、自分で開業したいとのことで、独立すること自体は円満に認めてやっていってほしいとのことでした。
しかし、人数の少ない会社だし、ほかの従業員とも仲が良いので引き抜き行為があったら困る、弁護士のほうで対処しておくことはありますか、といったご相談でした。

不動産業界に多い問題

不動産業界では、このようなご相談をいただくことが多いです。特に、不動産売買・仲介や、建設会社の職人の方などは、もともと独立したような働き方をしている人も多いからです。

このような場合には、退職時の時点での対策が肝心です。「引き抜き行為」というと、会社にダメージがありますし、裁判例でも引き抜き行為が悪いとしたものがありますが、一般的に事前対策をしておかないと、裁判などで咎めることが難しい問題だからです。

裁判例などでも、20人規模の会社で、半数近くの従業員を引き連れて独立するような極端なケースですと、違法だと認められておりますが、20人規模で1人、2人引き抜いても、まず違法とは認められないでしょう。そもそも、「引き抜き」というのが、引き抜かれる側の従業員がどちらの会社で働きたいかという問題も絡むため、一概に違法だと言いづらいからです。

退職時が肝心

このように、後から対処することが難しいので、「退職時」に「事前対策」しておくことが非常に肝心です。特に円満退職の場合には、退職の同意書などに記載してもらえる場合が多いでしょう。その際に、「引き抜き行為を行わない」といった旨の同意書・確認書を取っておくのです。このような合意書は、「引き抜き」単独の項目と目立つので、その他「顧客情報を持ち出さない」「機密情報を持ち出さない」といった項目と一緒に誓約書という形にしておくと良いです。

何も対策をしておかないと、裁判例のように「引き抜き行為」について違法と評価することは難しいですが、このような「誓約書」を作成しておけば、この「誓約書」の違反ということで相手に法的責任追及することができるようになります。
もっとも、合意書の内容は、「努力目標」を定めたようなものでは不十分なので、具体的な書面としては、状況に応じて、個別に弁護士にご相談いただく方が良いです。

(弁護士 山村暢彦)

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