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買主が行方不明!?不動産売買契約解除の方法はあるの!?

2018年08月08日(水)

不動産売買で買主が行方不明になってしまった

事例:買主側が手付金を支払っているのに行方不明?

親が住んでいた一戸建て物件を中古物件として売り出したAさん、取引も円滑に進み手付金の支払いも受けて引き渡しの準備を進めていたところ不動産会社から次のような連絡が来ました。

・買主が手付金を支払ったまま連絡がとれなくなった
・配偶者や家族はいない
・親族も心当たりはないとのこと

手付金まで支払っているのに、何らかの事情で連絡が取れず行方が分からなくなってしまった買主。このようなケースではどのような対応が取れるのでしょうか。

催告手続きをしなければ解除はできない?

売主は困り果ててしまい、不動産会社に相談してみますが催促しなければ契約の解除ができず取引の相手がいない以上手の打ちようがないと言われてしまいました。

しかし、実際のところは何か方法はないのでしょうか。

債務不履行解除

この場合、買主は手付金を支払うだけではなく、取引が終了するまで各手続きを円滑に進める義務を負っていると考えられます。

この義務を誠実に履行していないと認められれば、履行遅滞による債務不履行(民法541条、民法542条)による契約解除が可能であると考えられます。

債務不履行解除の要件は債務者の帰責事由によって、履行遅滞が生じていることが要件となります。この点については、一方的に行方をくらました買主に帰責事由がある可能性が高いと言えます。

そして、債務不履行解除のもう一つの要件は相当期間を定めて履行の催促をして、その期間内に履行がないことが必要です。そしてこの催告は公示による方法で相手方に連絡が取れなくても契約解除が可能だと考えられます。

公示による通達

公示とは簡易裁判所に申し立てすることで、解除の意思表示の内容を簡易裁判所の掲示場に掲載して、またその内容を官報に少なくとも1回掲載します。

そして、公示の意思表示は最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間経過した時に相手方に、到達したとみなされます。

但し、このケースでは買い付け証明の段階、契約締結前であれば契約が成立しているとは言えないため契約解除の問題にならず問題なく新しい契約に移ることが可能であると考えられます。

参考条文

民法98条
  1. 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
  2. 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。
    ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準する施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
  3. 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
  4. 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
  5. 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。

弁護士のコメント

手付金の支払い後に、行方不明というのは、比較的稀なケースですが、買付証明後、契約前の段階などで、「やっぱり売らない」など、トラブルになりやすいのが、不動産売買の常です。①買付証明の段階、契約前は、頓挫してもお互い何も言えない=白紙解約可能、②契約後・手付金移動後は、手付金での解約が可能、というのが原則論です。
今回のように、解約のトラブルになりそうなら、会社側も、購入社側も、法的にどのような対応が可能なのか、一度専門家に相談の上、対応されるほうが良いかと思います。

【執筆 松本和博 (宅地建物取引士試験合格)】
【監修 弁護士 山村暢彦】

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